財産をめぐる、きょうだい同士の争い

結果、きょうだい同士で財産をめぐって意見がかみ合わないことが増えてきます。遺言に均等に残すとあっても異論が出てきます。

「兄さんはマンションを買ったとき援助してもらったじゃないの。息子の学費だって出してもらっている。その分を除いて均等に割るのはおかしいでしょ」
「オレが近くに住んで、よく様子を見に行っていたことは知ってるだろう。母さんはその分を考えてくれたんだ。お前のところは子どももいないし、むしろ均等ならいいじゃないか」
「様子を見に行ったって、お金を借りに行ったってことでしょ」

きょうだい同士で財産をめぐって意見がかみ合わないことが増えてきます(写真提供:Photo AC)

感情的にならずに話をするのは大変ですが、そこにきょうだいそれぞれの配偶者が加わると、「ここで妥協してはいけない」とたきつけるので、余計に厄介なことになります。

争いがこじれていく様子を何度も見て、私は財産など残すものではないと強く思うようになりました。

財産をもったまま高齢になり、認知症になった場合、本人にかわって、子どもがその管理をすべて代行できる制度があります。

そこまではいかなくても、どんなに親に嫌われようとも遺産は子どもが相続できるという法体系が続いているために、親の財産を自分の財産のように思う子どもは少なくありません。

このため、自分自身の取り分が増えるようにと、子どもが親にかかる介護費や医療費を節約しようとするケースすら出ています。