リスク分散

文章を書くことを仕事にすると、趣味で書けなくなる、なんてよく言う。もちろん仕事で書いてブログも書くなんて器用な人もたくさんいるが、私も趣味で書けなくなったタイプだ。仕事以外のプライベートは、仕事と関係ないことをしていたい、仕事のことは考えたくないという人も多いだろう。

好きを仕事にしてしまったがゆえに、プライベートと仕事が混ざり合ってしまう。むしろライターになる前、ブログを書いていた時のほうが、純粋に書くことを楽しめていたのかもしれない。

『死にそうだけど生きてます』(著:ヒオカ/CCCメディアハウス)

兼業だったころ、早く好きな仕事を専業にしたい、と常に思っていた。しかし、いざ専業になると、兼業に戻りたいと思っている自分がいる。逆説的だが、好きではない仕事に追われ、押さえつけられ、悶々としていたからこそ生まれる創作意欲があったことに気づいたのだ。

さらに、兼業だと、どちらかが上手くいかなくても、精神的にそこまで追い込まれない。経済的にも精神的にも、リスク分散という大き過ぎる効果があったのだ。長年フリーランスをやっている同業者の中には、意外と兼業希望者もいたりする。違う仕事をすることでモードを切り替えられ、気分転換にもなったりする。