好きなことを仕事にする弊害

しかし、専業のライターになって、「好きなことを仕事にするとむしろ嫌いになる」ということの意味が、少しずつわかるようになってしまった。好きなことを仕事にすれば、ストレスフリーで人生が充実する。そんな風に甘くはなかった。

仕事でやる以上、どうやってもノルマや数字が付き纏う。気ままにやれる人がいるのだとしたら、それ以外に不労所得があったり実家に住めたりして、経済的に困っていない人だけだろう。月々の収入を得ていくためには、最低限こなさないといけない業務量がある。

さらに、ライターであればPV、本の売れ行きなど、ダイレクトに「数字」が付き纏う。そうなると、当然精神的に負荷がかかる。純粋に好きを突き詰めるだけではなく、良い結果を出すための努力をしないといけなくなる。そのためには、多少自分の信念を曲げたり、気が乗らないこともやったり、商業的な正しさを優先したりしないといけないことも出てくる。

好きなことを仕事にする弊害は、好きなことだからこそ、言い訳ができない、結果が伴わなかった時に精神的により追い詰められる、ということだろう。好きで得意なことだからこそ、手が抜けないし、手を抜くと自己嫌悪になる。思うような結果が出ないと、自分自身を否定されたような気持ちになる。