低賃金の問題

厚生労働省が働き方改革の一環として、平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成した。SNSを見ても、物価高・低賃金の対応策として副業を推してくるような情報も目立つ。

しかし実際、賃金の方を改善しないと、根本的な解決にならないだろう。低賃金の問題を副業で解決させようとするのはよくないやり方だと思う。私自身、「フルタイムで働きつつ副業も」という生活をしていた時は、通常の休日を副業にあてることになり、人間らしい生活はできなくなった。

副業を推奨するなら、フルタイムが「週5勤務」という基本を見直す必要があるだろう。本業の賃金が安すぎて、副業をしても生活がやっとという生活をした身としては、健全な副業というのは、本業でしっかりした収入が保障された状態で、スキルアップや精神的な充足のためにあくまで+αでするというものだ。

だから理想の働き方は、すごく不得意とか大っ嫌いではない仕事で最低限の収入を得て、副業で好きなこと、趣味を活かせる仕事をするというスタイルだ。しかし、これができたら苦労はしない。仕事である以上、ある程度のコミットは必要。

週3などでゆるく働けて収入もそこそこになんて仕事はそうそうないのだ。ひとつは週3、もうひとつは週2くらいで働けたら理想だが、好きな仕事と並行でき、かつ最低限の賃金をもらえるなんて仕事、果たして見つかるのだろうか。

前回「ヒオカ「ここはあなたが座る席じゃない」優先席問題について考える。見えない障害は説明すればよい?マイノリティは常に説明を求められ続けるのか」はこちら

◾️本連載が書籍化されました。好評発売中です