写真提供◎AC
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第45回は「伴走してくれるキャリアアドバイザーに出会いたかった」です。

『転職の魔王様』

転職エージェントを舞台にした異色のドラマが始まった。成田凌主演、小芝風花がヒロインを演じる『転職の魔王様』(カンテレ)だ。大手広告代理店に新卒で入社するも、上司からパワハラを受け体調を崩し、3年もたたずに退職した未谷千晴(小芝風花)は、叔母の落合洋子(石田ゆり子)が社長を務める転職エージェント『シェパードキャリア』でキャリアアドバイザーの来栖嵐(成田凌)に出会う。とにかく口が悪く、何でもズバズバ言う来栖だが、求職者を内定に導く腕は確かで、「転職の魔王様」と呼ばれている。

私は“転職エージェント”という言葉に敏感に反応してしまう。私も千晴にやや境遇が似ていて、パワハラによる短期離職をした際、複数の転職エージェントに登録したことがある。そこでキャリアアドバイザーは私の履歴書に目を落とすやため息をついたり、「短期離職は傷もの」なんて言われたり、「あなたは市場価値がない」「土俵にすら立っていない」なんて切り捨てられたりした。

さらに、やりたい仕事を諦めて、「求人が多い営業かエンジニア職に応募する気になったらまた来て、そうでなければ紹介できない」と言われ、サポートは受けられなかった。こんな経験があるため、転職エージェントにトラウマがあるのだ。

千晴は、魔王様との初めての面談で、「高望みするつもりはないです。このまま働いてない期間が長くなるのは致命的だと思うので」「どんな業界でもどんな会社でもいいので私を必要としてくれる所でとにかくすぐ働きたいんです。未経験の仕事でも全然かまいません」と言う。すると、魔王様は容赦なく言い放つのだ。

「何か勘違いしていませんか。未経験業界に行くなら25歳の今年がタイムリミットと言われています。求人企業の多くが転職者に求めるのは即戦力です。未経験でも許されるのは就活中の学生か25歳以下で高い適応力と高いポテンシャルのある人だけ。それでもあなたは未経験でもかまわないと平気で言えますか。さらに言えば経験業種であっても転職限界年齢は35歳。女性の場合30歳といまだに言う人もいます」

うわああーーキターーーー。めちゃくちゃ既視感!デジャヴ。これぞザ・転職エージェント。私も千晴と同じくらいの年齢の時に転職活動をしていたが、本当にそのまま同じことを言われた。いやこれ、魔王様のセリフ全然オーバーじゃない。現実の転職エージェントもこんなもん(※あくまで私が経験したケース)。

そしてそれに対し、「それって性差別では?」といぶかしむ千晴に、魔王様は転職エージェントの宿命ともいえる現実をドストレートに伝えるのだ。