合わない仕事は人を殺す

転職限界年齢、男女の年齢条件格差、同じ会社で3年神話など、生々しい現実をリアルに描くこのドラマ。そういったさまざまな転職の呪いにかかりそうな求職者が、不利な現状を超えて、本心に向き合っていく姿には希望が持てる。求職者の葛藤や置かれた状況も妙にリアル。転職希望者の通過するであろうリアルが詰まっている。私も「転職の厳しさを思い知れ」「お前は土俵にも立ってないんじゃ(ドヤ――)」と言うだけじゃなくて、そのあとちゃんと伴走してくれるキャリアアドバイザーに出会いたかった。泣

そして3話では、魔王様がかつて自分を押し殺しながら働き、心が壊れた過去が明らかに。そんな魔王様だからこそ、自分を卑下して妥協したり、本音を隠して言われるがままに本当は行きたくない会社の面接を受けようとしたりする求職者を放って置けないのだ。魔王様は言う。

「合わない仕事は人を殺しますから。合わない仕事は自分の心を殺し、他の誰かを殺すこともある。だから俺は見過ごせません」

その後何年も働き、人生の中心部分を過ごす会社を決めるからこそ、自分と向き合い、自分を偽らずに最善を探す。現状が厳しいから、自分に市場価値はないから、そうやって合わない仕事をやり続ければ、心が死ぬことだってあるだろう。転職活動は、自分の本音と対峙し、自分を知って、自分の生き方を考えるという作業なのかも知れない。そんなことを考えさせられた。

前回「ヒオカ「好きなことを仕事にすべき?」意見はまっぷたつ。程よく働き収入を確保、好きな副業もできたら最高だけど」はこちら

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