「本当の自分ではダメなんだと感じ、気づいてもらうには自分以外の存在になるしかないと思いこんでいく」(写真はイメージです。写真提供:photoAC)
家庭環境は平凡だけど親が嫌い、「本当にやりたいこと」が見つからない、恋愛が苦手…こうした「生きづらさ」を抱える人は多いのではないでしょうか。もしかしたらその原因は、幼少期にあるかもしれません。子どもたちを苦しめる、精神的に未熟な親の問題を取り上げ、全世界で共感を生んだ『親といるとなぜか苦しい』より、ネグレクトされた子どもが取る行動とその先をご紹介します。

しんどい親を持つと、子はファンタジーの世界に逃げ込む

精神的に未熟な親が子どもと精神的にかかわれず、じゅうぶんな関心を持ったり愛情を与えたりできないと、子どもは、いつかは自分の欲求が満たされるというヒーリング・ファンタジーを持つことで対処する。

また、特別な家族の役割をみいだし、「役割としての自己」といったものをつくり出していくこともある。役割としての自己は、自分のことしか考えない親から関心を持ってもらおうとつくり出される。

ここではヒーリング・ファンタジーと役割としての自己について検討し、ついで、子どもが精神的なネグレクトに対処するために用いるまったく異なる2つの対処法、内在化と外在化について探究していこう。

残念ながらいずれの対処法でも子どもが自身の可能性をじゅうぶんに伸ばすことはできない。親が自分のことしか考えないせいで、こうした子どもは、親に自分のほうを向いてもらうには、本当の自分ではダメなんだと感じ、気づいてもらうには自分以外の存在になるしかないと思いこんでいく。