大人の現実には適さない
子どもはよく、悩みや精神的な孤独を解決するには、自分や他者を何かべつの存在に変えればいいと考える。したがって、どんなヒーリング・ファンタジーも「※※でさえあれば」という話になる。
「自分がもっと相手のことを思いやり、親が喜ぶような子どもでさえあれば愛してもらえるのに」とか、「理解と思いやりのあるパートナーさえみつけられれば……」といった具合だ。
残念ながらヒーリング・ファンタジーは、子どもの心から生み出された、子どもの解決法なので、概して大人の現実には適さない。
しかしどんなヒーリング・ファンタジーも、つらい毎日を生き抜く力、もっと素敵な未来が待っているという前向きな希望を子どもに与える。
多くがそうやって、悲惨な子ども時代を乗り越えてきた。いつか愛され、心を寄せてもらえるというファンタジーが、彼らを前へ進ませ続けるのだ。