退屈で幸せでたまらない

不感温浴といわれているように、ぬる湯に浸かった瞬間、体全体に熱が行き渡るようなじわじわビリビリ感はありません。

ざぶんと足を入れた瞬間は、歯ごたえのない冷たさを感じますが、次第にぬるさに体が慣れ、湯と肌に境目のない入浴が続いていきます。

『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』(著:永井千晴/幻冬舎)

いつ出ようか、いつでもいいや、なんにも感じないな、苦しくも痛くも熱くも冷たくもない、ただちょっとずつ、ピリピリじんわりと、血が末端まで行き届いてすべて解放されるような。

ぼけっとしていてもいいし、湯が流れる音をただ聞くのもいいし、本を持ち込んでもいい。

緊張がすべてとろけて、テレビも見ずに仕事もせずにじっと湯に浸かるような贅沢が、とにかく嬉しいのです。

私はだいたい、体を浮かせたり沈ませたり、呼吸を整えて瞑想したりして、1、2時間ほどだらだらと浸かっています。退屈で幸せでたまらないのです。