退屈で幸せでたまらない
不感温浴といわれているように、ぬる湯に浸かった瞬間、体全体に熱が行き渡るようなじわじわビリビリ感はありません。
ざぶんと足を入れた瞬間は、歯ごたえのない冷たさを感じますが、次第にぬるさに体が慣れ、湯と肌に境目のない入浴が続いていきます。
いつ出ようか、いつでもいいや、なんにも感じないな、苦しくも痛くも熱くも冷たくもない、ただちょっとずつ、ピリピリじんわりと、血が末端まで行き届いてすべて解放されるような。
ぼけっとしていてもいいし、湯が流れる音をただ聞くのもいいし、本を持ち込んでもいい。
緊張がすべてとろけて、テレビも見ずに仕事もせずにじっと湯に浸かるような贅沢が、とにかく嬉しいのです。
私はだいたい、体を浮かせたり沈ませたり、呼吸を整えて瞑想したりして、1、2時間ほどだらだらと浸かっています。退屈で幸せでたまらないのです。