真摯(しんし)に向き合う医師を根気強く探そう

ただし、町医者の中には、大学病院時代の感性がなかなか抜けない人もいます。また、すべての町医者が、高年者医療のスペシャリストというわけでもありません。

そこで、頼りになる医師かどうかを見抜くポイントを3つ、紹介しましょう。

1つめは、「待合室が明るく、にぎわっているかどうか」です。

病院の待合室をネタにした落語があります。待合室が老人の井戸端会議の場になっていて、「今日は、あのじいさん、来てないね」「あぁ、具合が悪くて来られないって」というオチの話です。

『65歳から始める 和田式 心の若がえり』(著:和田秀樹/幻冬舎)

世間には、病院の待合室は元気な老人のたまり場で、本当に具合の悪い人は来ない、という認識が広がっています。これは、完全なる勘違いです。

医院の待合室のにぎわいは、医師が患者さんに真摯に向き合っていることの表れです。薬の使い方も適切だと思われます。高年の患者さんがヨボヨボし、かかりつけ医のもとまで歩いていけないのだとしたら、薬の使いすぎが一因と考えられます。

さらに、患者さん同士がワイワイとおしゃべりできるような明るい雰囲気が待合室にあるのは、医師が患者さんを大切に考えている証です。もし、横柄(おうへい)な医師であったら、患者さんは待合室で大人しくしていることでしょう。

ですから、待合室が暗くてどんよりし、老人のたまり場になっていないような町医者は、避けたほうがよいとわかります。

2つめは、「周囲の口コミ」です。年齢を重ねると、周囲にも病気になる人が増えるため、「あそこの病院はいい」「あそこはよくない」といった話を聞く機会が増えるでしょう。こうした患者視点の情報はわりと当てになるので、こまめにチェックするとよいと思います。

3つめは、「実際に受診してみて、自分と相性が合うかどうかを確かめる」ことです。誰かにとってよい医師が、自分にもよいかはわかりません。自分に合わないと感じれば、ほかの病院を探したほうが賢明です。かかりつけ医とは長い付き合いになります。よい医師と出会えると、その後の安心感がまるで違ってきます。

「話を聞いてくれて、説明もわかりやすい」「愛想がよい」「治療方針を一緒に考えてくれる」といった医師を根気強く探せば、きっと、頼りになるかかりつけ医と出会えるでしょう。