「病気を治す治療」と「元気になる治療」どちらを選ぶ?

治療は、「病気を治す治療」と「元気になる治療」に大別できます。

「病気を治す治療」とは、文字通り、病気を根絶するための治療です。検査の数値を見て、基準値より高ければ薬を処方し、がんが見つかれば、転移を予防するために患部の周辺まで大きく切り取る。そうすれば、検査の数値は改善されて、がんの腫瘍(しゅよう)もなくなります。

この「病気を治す治療」は、一般的な医師が行う治療です。患者さんからの希望がなければ、多くの場合、「病気を治す治療」が行われることになります。

ただし、病気にばかり目を向けた治療法は、患者さんのQOL(生活の質)を大幅に落とすことが多くあります。治療の目的が「病気を根絶する」ことにあり、患者さんの生き方には目を向けていないからです。

一方、「元気になる治療」とは、病気を治すことよりも、患者さんのQOLをいちばんに考える治療です。投薬や手術が必要になった場合、QOLを落とさないために必要最小限の治療になるため、余命も短くなることがあるかもしれません。

その一方で、亡くなる少し前までは、日常の生活を比較的元気に、体力を保ったまま過ごせるでしょう。病気そのものを積極的に治療するのではなく、患者さんの主観を最優先にし、不調を感じたときにそれを軽くしていくのが「元気になる治療」です。

自分はどちらの治療を受けたいか、今から方針を考えておきましょう。

※本稿は、『65歳から始める 和田式 心の若がえり』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。


65歳から始める 和田式 心の若がえり』(著:和田秀樹/幻冬舎)

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