だから僕は時々、自分が置かれている状況が幸せなのか不幸せなのか、俯瞰して見つめるようにしています。そうすると、明日、明後日の自分に何が必要か客観視できる。とはいえ、常に先々を見据えて行動しているわけではなく、「これをやるぞ!」と決めたら、つい後先を考えず飛びついてしまうんですけどね。(笑)
責任重大といえば、もうひとつ。『闇に咲く花』は、演出を担当される栗山民也さんが一番思い入れの強い作品だとおっしゃっていて。僕に芝居の楽しさと難しさを教えてくれたのは栗山さんですし、『スリル・ミー』『木の上の軍隊』『母と暮せば』でご一緒しなければ、僕は今この場にいなかった。
節目節目で僕の人生の舵を切ってくれる方なだけに、大きなプレッシャーを感じます。ただ、どの仕事でも「見てくださる方の心にとどまり続ける作品にしたい」という思いは常に持っているので、今回も最後まで頑張りたいです。
僕は意外に頑固なんですよ。時々ですけど(笑)。「ここは譲れない」と思うと、芝居の現場でも音楽の現場でも必ず伝えるようにしています。健太郎と少し性格が似ているのかな。彼は決して自分の信念を曲げない、意志の強い人なので。そういう意味では、アプローチしやすい役かもしれません。
不安のひとつは、健太郎はプロ野球チームのピッチャーだということ。僕はこれまでの人生、球技に縁がなくて、野球にもサッカーにもふれてこなかったんです。いったい何をしていたんでしょう(笑)。当然キャッチボールも満足にできないので、幕が開くまでに練習しなければと思っています。