春日山城跡にたつ上杉謙信公像。謙信は手取川で柴田勝家を撃破している(写真提供:Photo AC)

松本潤さん演じる徳川家康がいかに戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのかを古沢良太さんの脚本で巧みに描くNHK大河ドラマ『どうする家康』(総合、日曜午後8時ほか)。第30回では、無事に浜松へ戻った家康だったが、秀吉(ムロツヨシさん)は織田家の跡継ぎを決める清須会議で、信長の孫・三法師を立てつつ、織田家の実権を握ろうとしていた。そんな秀吉の動きを苦々しく見ていたお市(北川景子さん)は柴田勝家(吉原光夫さん)との結婚を決意し――といった話が展開しました。

一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第48回は「勝家はなぜ秀吉におくれを取ったのか」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

鉄火場は「見」にまわるべし

競馬のレースで穴・大穴が続いたような「鉄火場」状態になったときには、よほどの熟練者ではない限り、いったん「見」にまわるべきである。勝負をひかえ、冷静に状況を観察することを優先せよーー。

ぼく自身、競馬は鑑賞するだけで投票はしないのでエラそうなことは言えないのですが、浅田次郎先生のご本でしたか、そんな教訓を読んだ憶えがあります。そしてあらためて、もっともだなあ、と思います。

そこでこの原則を歴史の場面に当てはめてみましょう。それもズバリ、本能寺の変。

天下人の織田信長が討たれてしまうのですから、これはもう鉄火場の中の鉄火場。株式でいえば乱高下状態。

こんなとき、普通の人は絶対に手を出しちゃダメでしょう。資金を大切に抱え込んで、「見」にまわるべきですよね。