朝晩仏壇に手を合わせて

周りからは水面下で新喜劇に戻るお話なんかもいただいたんですけど、僕は「やすしさんを待ちます」とお答えしてました。2年4ヵ月、これはね、本当に長かった。でも、何回も何回も断った僕を導いてくれたのはやすしさんですし、そこだけは絶対に間違えたらアカン。今もただただ感謝しています。

96年、やすしさんは先にあっちの世界に行ってしまいました。そこから今日にいたるまで、毎日、朝晩仏壇に手を合わせてやすしさんと話をしています。

『小さなことからコツコツと 西川きよし自伝』(著:西川きよし/文藝春秋)

「今日の劇場出番、もう夏休みの時期に入ってるから、お子さんも笑えるようなネタを考えてんねん。あの漫才のあそこをアレンジしてやろうと思ってるんやけど、どう思う」

そんなことを話してから家を出るんです。そしてね、これは、変な話に聞こえるかもしれませんけど、漫談してたらね、パッとセリフが飛んだりもするんですよ。その時に、横から声がしてセリフが聞こえてくる。その上、僕の発想では出てこないようなアドリブの言葉もスッと出てきたりする。その時に、確信するんです。「あ、やすしさんや」と。