廣瀬俊朗キャプテンの存在

取材会場では、ほかの記者がリーチに質問を続けていた。

「キャプテンとしてチームをまとめるにあたって、誰かに相談することはありますか?」「それはトシさんです。廣瀬さんです」

廣瀬俊朗―。すでに現役を引退したが、リーチとは東芝ブレイブルーパスの同僚で、前任の日本代表キャプテンである。廣瀬は日本人として、どのように多国籍の選手たちを一つのチームとしてまとめたのだろうか。

2019年4月1日。キャリーケースを引いてあらわれた廣瀬と藤沢駅近くの喫茶店に入った。この足で大阪に向かって、翌日に花園で催される子どもを対象にしたラグビークリニックに参加するのだという。

「マイケルは言葉の問題を気にして、キャプテンは純粋な日本人の方がいいのではないかと考えていたようですね。でもぼくがキャプテンのころから、マイケルが外国人選手と日本人選手の接着剤の役割を果たしてくれていました。ナイスガイで優しいですからね。彼がキャプテンにならない理由はなかったと思いますよ」

1981年生まれの廣瀬は大阪府出身。北野高校、慶應大学、東芝ブレイブルーパス、そして日本代表と所属したすべてのチームでキャプテンを経験したプレーヤーである。エディー・ジョーンズにして「自分の人生でナンバーワンのキャプテンだ」と言わしめたと聞く。