「大きな事務所に所属してマネジメントを委託すれば、お仕事をいただくうえでは有利かもしれない。けれど、夫婦で一緒にいられるのってすごくいいな、と思って」

妻は30年ぶりに社会人へ復帰

会社を辞めてフリーに転向するという気持ちを固めた時、真っ先に電話をしたのが妻です。携帯電話の呼び出し音を聞きながら、ふと見上げたら空が真っ青で、それがなぜか大海原に見えた。今から広い世界に漕ぎ出すんだと思うと、とても晴れやかな気持ちでした。

退職について妻は一言も反対せず、「やるしかないよね」と背中を押してくれました。明確に相談していたわけではないんですが、長年連れ添っているので、なんとなく僕が悩んでいるというのを察知していたのかもしれませんね。

2人の息子も、父親の転身を面白がっている様子。上の子は社会人で、下の子ももう大学生なので、あと数年で手が離れる。だから、タイミング的にもよかったんです。

退職後は個人事務所を立ち上げ、妻に事務所の代表兼マネジャーになってもらいました。すべての仕事に同行してくれているので、24時間そばにいます。

大きな事務所に所属してマネジメントを委託すれば、お仕事をいただくうえでは有利かもしれない。けれど、夫婦で一緒にいられるのってすごくいいな、と思って。妻も、「辞めてもらって一番良かったのは、いつも一緒にいられるようになったこと」と言ってくれています。

と言いつつ、この春からは寝室は別々です。朝の番組を担当する僕は21時には布団に入ることにしています。一方妻は、どうしても残った仕事をしたり、家事をしてくれたりということになる。「じゃあ、部屋を分けたほうがお互い楽だね」と話し合いました。