「20代のすべてを病気で費やしたことに、〈よく耐えられましたね〉と言われます。たぶん最初から〈12年かかる〉と言われたら耐えられなかったでしょう。」

20代のすべてを病気で費やして

しかし、なんとなく将来を考え始めた高校3年の秋、私の人生は大きく変わってしまいます。まぶたの腫れが引かない日が続いて、病院で検査を受けたところ、微小変化型のネフローゼ症候群(尿にタンパクが大量に出てしまうことで血液中のタンパクが減ってしまう疾患)と診断されたのです。

当初は2ヵ月も入院すれば病状が落ち着いて退院できると言われたのですが、私は少々厄介なタイプだったようで。治療薬のステロイドを減らし始めると再発してしまう。そんなことを繰り返し、結局12年間も闘病生活が続きました。

結果、ステロイドを長期間使うことになり、副作用で骨がスカスカ、圧迫骨折を起こしてしまいました。身長が6センチほど縮んだと言うとわかりやすいですかね。骨が固まるまでは背中に荷重がかかると激痛が走ります。

でも人間は起きている姿勢でないと骨が形成されにくいため、できるだけ起き上がった状態でいないと好転していきません。背骨に負担をかけないように、椅子の座面に両手をついて体を吊り上げるようにするか、机に両肘をついた姿勢でいるか、そんな毎日でした。