どうか、一人残る千丸だけは・・・

彼の意図を冷静に把握すればそういうまとめになりますが、より彼の感情に則して表現するなら「討ち死にするのはオレでしまいだ!千丸は何としても生き残ってくれ!」になるのかもしれません。

というのは彼の父の可成、兄の可隆は戦場で命を落としている。将来を嘱望されていた弟の蘭丸は、同じく弟の坊丸、力丸とともに、本能寺で織田信長と運命をともにした。

森蘭丸(「太平記英勇伝「六十六:森蘭丸長康」東京都立図書館所蔵/Wikimedia Commons

つまり森家はすでに五人も死んでしまった上、次はオレ。だからどうか、末っ子の千丸だけは・・・。

そんな痛切な願いが込められているようにも読めるのですね。