「最初は、浪曲が好きだという落語家の四代目桂文我さんが、『三味線で伴奏をするから、飯野さんが物語をうなればいい』と誘ってくれて。子ども向けのイベントなどで読み語りをするようになったんです」

桂文我さんとの共演をきっかけに、「あさたろう」を浪曲調で読み語るイベントを各地で開く。股旅姿の衣装や提灯などの小道具は「何度も借りるのは不経済だろう」と貸衣装屋さんに諭され、浅草の専門店で買いそろえた

同時期に、三重県の小学校から「あさたろうを芝居にしたいから、作者が語る音声を送ってほしい」と連絡があり、後日、子どもたちが演じた舞台のビデオが送られてきた。

「それを見た出版社の偉い人が、『こういう絵本の受け入れられ方もあるのか』とわかってくださって。そこから11巻までの長いシリーズになりました」

宮崎で開いた「あさたろうの旅姿ワークショップ」で、参加した子どもたちと

その間に「あさたろう」は人形劇やアニメになり、飯野さんは『徹子の部屋』への出演も果たす。「帰り際に徹子さんが『私も出してもらえないかしら』と言ってくださったので、すぐに玉ねぎ頭の『火の玉おてつ』が活躍する巻を描きました」。