井戸をモチーフにした渦巻き柄のアフリカンファブリックを使い、自ら縫い上げた着物を着て(撮影:天日恵美子)
15歳でデビューして以来、モデル、女優として活躍してきた秋川リサさん。プライベートでは、離婚や実母の介護も経験しました。70代を迎え、今後を見据えて準備していることとは――(構成=村瀬素子 撮影=天日恵美子)

認知症になった母の失禁、徘徊、罵詈雑言

7年前に母を見送り、息子と娘が独立した今は、愛犬モモちゃんと暮らしています。モモは保護された野犬の子で、縁あってわが家に。当初、人間を警戒して怯えていたけれど、今ではすっかり私になつき、片時も離れません。今日の取材にもついてきました。(笑)

もともと家族4人で住んでいたわが家は、私ひとりには広すぎるので、空き部屋をシェアハウスとして活用することにしました。リビングとキッチンがある3階を私が使い、母や子どもたちの個室があった1階と2階の4部屋を貸しています。

現在の住人は、トルコとイギリスからの留学生が1人ずつ、日本の学生が2人。同居人とモモがいますから、孤独を感じることはありません。

今は自由気ままに暮らしている私ですが、39歳で離婚してからは、シングルマザーとして2人の子を育てながら無我夢中で働いてきました。そして57歳から7年間、認知症の母を介護。その壮絶な経験が、自分の老後の暮らしや終活について考えるきっかけになったのです。

母に認知症の兆候が表れたのは82歳の時。「私の通帳がないのよ。あんたが盗んだんじゃないの?」と言い出したのが始まり。母の場合は進行が早く、すぐにお金のことがわからなくなってしまい、無銭飲食や万引きまがいの行動が増えました。

やがて失禁を繰り返すようになり、家の廊下に汚物が散乱することもたびたび。私は帰宅すると真っ先に汚物の始末をしなくてはなりませんでした。また、昼夜構わず徘徊するので目が離せず、休む暇もなくて……。