方言で交流したり、句会で集まったり

若竹 普通のことを楽しむのも大事かな。私、月下美人を育てているんです。それで花が咲きそうな夜、お友達を15人くらい呼んで、料理を1品ずつ持ち寄って泊まりがけで花の観賞会をする。みんなでご飯食べたり、民謡に合わせて踊ったり、くだらない話をして過ごすのがすごく楽しい。

内館 若竹さんの2作目の小説『かっかどるどるどぅ』では、生きるのに疲れている人たちが70代の女性の家に集まるでしょう。それでみんなでつい踊り出す。あれはハレだったと思う。

若竹 女性はそういうの、得意ですよね。

内館 私は昨年、編集者たちと句会を始めたの。誰も俳句なんて作ったことないのに、盆と暮れに句会を開いて、飲みながら、偉そうに合評会です。まア、文化的匂いをつけた納涼飲み会と忘年会ですよ(笑)。高齢者は《集まること》を始めると、ハレが来る。

若竹 人とのつながりは大事だと思います。

内館 だから、盛岡でみんなで暮らそうって。(笑)

若竹 私は小中学校の同級生たちと、方言でLINEしています。40歳くらいまではなんとなく競争意識があったりもするけど、70近くなったら子どもに戻って素のままで全然平気。

内館 誰もが、どうやっても年齢には逆らえないとわかってるから、何か楽よねえ。なかには「もっとポジティブに生きないと」とか言う人もいるでしょうけど、気の合う人と楽しんで笑い合うだけで、十分にポジティブだと私は思う。

まず、自分が好きなことや得意なことに優先順位をつける。だから、「いま」できることから存分に楽しむ。それが幸せにつながると思います。

若竹 そうですね。苦手なことや好きではないことを、やみくもにがんばってもしょうがないですもの。私も病気をしたり、年をとったからこそ書けることを、これからもマイペースで書いていきたいです。

内館 私も自分が高齢になったからわかる心理、本音を書きたい。ねえ、若竹さん。また一緒に盛岡文士劇に出ましょうよ。

若竹 機会があればぜひ。

内館 私、心臓病の後遺症で、息切れもあるし、歩くのもけっこう大変なの。だから「寝たきりの役」にしてとお願いしているんだけど、それは難しい、って――。

若竹 やっぱり、看板女優が寝たきり役ではねぇ。(笑)