総務省統計局が行った「令和2年 国勢調査」によると、「単独世帯」の割合は他世帯と比べ最も高く、2015年より14.8%も増加したそう。そのようななか、「一人暮らしのときは、家族の大切さなど考えたこともなかった」と話すのは、愛妻・ゆかちゃんと2人の息子「ちびれる君」たちと暮らすお笑い芸人・あばれる君。今回は、あばれる君の誠実でまっすぐな人柄があふれる初のエッセイ『自分は、家族なしでは生きていけません。』から、一部引用、再編集してお届けします。
自分は、芸人としてやっと動き出したのです。
厳しい看護学校を卒業したゆかちゃんが名門の病院に看護師として就職し、東京にやってきました。僕が大学3年生のときです。
しっかりと働いている彼女と大学生。これはもう、デート代や食事代など、どちらがお金を払うのかは火を見るより明らかです。
僕はいつも安心して食べました。安心して食べて食べて食べまくりました。
追加注文で重ねられた伝票をレジに持っていくとき、ゆかちゃんはそっとお金を伝票に挟んで店側にはあたかも僕がお会計をしているかのように振る舞ってくれるのでした。
僕がカッコつけたいがために「店側に僕がお会計してるようにみせたい」と頼んだからです。
ゆかちゃんは、別に疑問を挟むわけでもなく、「はいはいはい……。なるほどね……。うんうん。」と僕の意図を受け取ってくれるのでした。