「とくに病気はないのに体がだる重い」「午後になるとどっと疲れが」「睡眠時間を確保しているのに眠気がひどい」…。原因がよくわからないながら、こうした心身ともに冴えない症状を訴える人が増えていると糖尿病をはじめとする生活習慣病・肥満治療のためのクリニックを東京・銀座で開業する牧田善二先生は言います。一方で多忙な名医ほど「食事」を活用して疲労回復しているそうで――。今回、先生の著書『疲れない体をつくる最高の食事術』から一部引用・再編集してお届けします。
血糖値の乱高下で体がボロボロになる
血糖値は上がりすぎてもいけないけれど、下がりすぎるのも大問題です。
下図に、「低血糖」と呼ばれる、血糖値が下がりすぎたときの主な症状を載せたので見てください。
血糖値が60(mg/dL、以下同)を切ると空腹感やだるさ、動悸、不安感など心身の不快な症状が現れ始め、45くらいから集中力が低下したり、視覚や言語にもおかしなところが出てきたりします。
30を切れば昏睡(こんすい)やけいれんなどを起こし、命に関わります。
さすがにみなさんは30を切るようなことはないでしょうが、60より低くなる事態は、たびたび生じている可能性があります。
ただ、それに気づかず、「疲れたな」「だるいな」で済ませているだけなのです。
こうした危ない低血糖は、意外なことに高血糖が引き起こします。
血糖値が異常に上がってしまったために、インスリンがたくさん出て、今度は異常に下がるのです。この症状を「反応性低血糖」と呼びます。
本来、血糖値は70から140くらいの範囲に留まっているのが理想です。
そして、なるべく乱高下しないようにするのが、疲れ知らず、病気知らずの体を保つ秘訣(ひけつ)です。