夫婦漫才コンビの宮川大助・花子さんは、2024年11月にコンビ結成から45年を迎えます。妻・花子さんは2019年、血液のがん「多発性骨髄腫」と診断され、現在も闘病中。夫・大助さんは、ご自身も腰の痛みを抱えながら、花子さんを懸命に支え続けています。そんな大助さんに対し、花子さんは「どれだけ深刻なときでも、あの人といると笑ってしまう」と語っていて――。今回は、お二人の闘病・介護の日々が綴られた著書『なにわ介護男子』から一部引用、再編集してお届けします。
伝えたい。多発性骨髄腫という病気のこと
抗がん剤の副作用で心肺停止寸前という大変な経験をしたおかげで、がんという病気への考えが改まりました。
多発性骨髄腫に限ったことではないと思いますが、がんになると誰もが完治をめざします。
私もそうでした。元の健康な体に戻りたいと思うのは当たり前のことですもんね。
でも、そんな単純な話じゃないんです。
腫瘍をやっつけようと抗がん剤を急げば、心不全になることがある。
介護してくれる人に遠慮しておしめ交換をお願いしなかったら、感染症から敗血症になって、あっという間に死んでしまうことだってある。
まったく予想しなかった副作用に苦しんだり、ほんのちょっとしたことから症状が悪化して重篤な状態になったりするんです。
がんそのものより、その周辺症状に苦しむことが多いと言っても決して大げさじゃありません。
それが、がんとつきあう最大の難しさだと思います。