(写真提供:Photo AC)
厚生労働省によると、2024年度の国民健康保険料の上限額は106万円で、2022年から3年連続で引き上げられたそう。このような状況のなか、ジャーナリストの笹井恵里子さんも「自治体から保険料決定通知書を受け取った時、あまりの金額の高さに絶句した」と語っています。そこで今回は、笹井さんの著書『国民健康保険料が高すぎる!-保険料を下げる10のこと』から一部引用、再編集してお届けします。

公的医療保険は主に6種類

国保は、公的医療保険制度の中でどのような位置付けだろうか。公的医療保険は主に6種類に分けられる。

(1)中規模から大手の企業が単独、あるいは同業種が共同して独自に運営する組合管掌健康保険(組合健保)
(2)中小企業で働いている人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)
(3)公務員、学校職員とその家族が加入する共済組合
(4)75歳以上が加入する後期高齢者医療制度
(5)職業ごとに組織される国保組合
(6)都道府県と市町村が共同で運営する国保

(1)~(3)は労働条件に基づいて雇用されている人が加入する健康保険で「被用者保険」という。

自営業者や私のようなフリーランス、非正規職員、リストラで職を失った人、定年退職した人を含め、(1)~(5)に入れないすべての人は(6)に加入することになっている((5)も正確には国保であるが、市町村国保とは加入者の層も、保険料の決め方も異なる)。

つまり最終的な受け皿である(6)の国保があるからこそ皆保険制度が成り立つ。皆保険とは、すべての人が何らかの公的医療保険に加入する制度である。(6)には他に加入できない人も入るわけだから“保険料の負担ができない人”を抱え込むことにもなる。

かつての国民健康保険は、自営業者と農林水産業者が加入者の約7割を占めていたものの、次第にその割合が減少し、現在は「所得なし」の割合が最も高く約29%。

所得100万円未満もほぼ同数の割合で、加入者1人あたりの平均所得は約96万円。いまや弱小連合といわれる。

社会保障に関する著書が多い立正大学社会福祉学部の芝田英昭(しばたひであき)教授は、「無職層が多い国保から多額の保険料を取るという仕組みがそもそも成り立たない」と指摘する。

「国保の制度ができた時は自営業者が多かったので、無職の人がここまで多くなる事態は想定されていなかったわけです。国保料はほかの健康保険料よりも高くなるのに、それを所得の少ない人たちで支えるという構図はどう考えても難しいでしょう」