背筋をすっと伸ばし、美しい姿勢をキープ!(イラスト:めぐろみよ)
自分では見えないがゆえに、おろそかになりがちな後ろ姿。背筋をすっと伸ばし、美しい姿勢をキープできれば、見た目が若返るばかりか、ラクに動けるようになるのです。中村多仁子さんにその極意を聞きました。(構成=山田真理 撮影=藤澤靖子 イラスト=めぐろみよ)

体の使い方のクセをリセットする

私は高校2年のとき出会った体操競技に夢中になり、1964年の東京オリンピックでは女子団体のメンバーとして銅メダルを獲得しました。現役引退後は後進の指導に情熱を傾けてきたのですが、30代半ばを過ぎた頃、学生を指導しながらふと体育館の鏡を見ると、背中を丸めて腕を組み、脚の力をだらしなく抜いたオバサンが。

それはまぎれもない私の姿です! あまりの衝撃に、その夜から自分の立ち姿を美しく矯正する体操を模索し始めたのです。

それから約40年。70歳を前に股関節の手術を受けて、リハビリに半年以上かかりましたが、今もこうして活動を続けています。そんな私を支えている「シルキー体操」をご紹介しましょう。

シルキー、つまり絹糸のようにしなやかで上下に張りのある、縦方向(シルキーライン)に美しく伸びた姿勢が目標です。また、広げた両腕とシルキーラインの交点(センターポイント)を意識しながら、すべての動作を行うこと。

腰痛や肩の痛みの軽減で筋トレに励む人は多いですが、無理して筋肉をつけるよりも、バランスのとれた姿勢で合理的に動くことが大事です。バランスよく立つことを心がければ、首や肩、腰への負担もおのずと減る。この2つを意識するだけで、体の使い方のクセがリセットされるのです。

すると背筋が伸びて立ち姿や歩き姿が若返るのはもちろん、筋肉に頼らずラクに動けるようになる。たとえば「振り歩き体操」を続けると、太ももの内側にある内転筋が鍛えられ、センターポイントから足の長さを意識することで、腰やひざの動かし方が変わってきます。

「手たたき体操」「肩甲骨寄せ」は、スマホ使用などで前かがみになった姿勢を直すのに効果的。回数も行う時間も自由です。毎日続けて、美しく若々しく動ける体を手にしてください。