経済の専門家・永濱利廣さん(右)とエッセイスト・岸本葉子さん(左)(撮影:本社・武田裕介)
物価高騰が止まらない昨今、私たちの生活に明るい兆しは見えるのでしょうか。経済の専門家・永濱利廣さんに岸本葉子さんが聞きました(構成:山田真理 撮影:本社・武田裕介)

前編よりつづく

金利上昇で生活への影響は

岸本 60歳になったとき、国民年金の引き落とし通知が来なかったことで「私も、もらう側になったんだ」と実感しました。今悩んでいるのが、年金をもらい始めるタイミングです。

遅らせれば月々の給付額は増えるけれど、自分の健康や寿命を考えると「早めにもらったほうがいいかなあ」とも思ったり。(笑)

永濱 岸本さんのように、変わらず仕事をしていて収入がある人は後ろ倒しにしたほうがいいでしょう。受給開始時期は、個々の生活環境や健康状態に合わせて判断するのが賢明です。

岸本 24年4月分から、公的年金の給付額が原則2.7%引き上げられましたよね。それなのに、将来的に給付額が減るという報道もあって非常に不安です。

永濱 公的年金は5年ごとに財政検証が行われており、今年がその年でした。結果を見ると、シニアや女性の労働参加率の上昇、外国人労働者の増加などにより、年金財政は改善しています。しかしメディアが「将来的に年金給付額は減る」と煽って報道するので、私は専門家として憤りを感じているんです。

岸本 そうなんですね! 安心しました。年金だけでは老後資金が足りないからと、投資を検討する人もいると思います。私は不慣れな投資をするくらいなら、目の前の仕事をしたり健康に気をつけたりしよう、と思うタイプ。一方で、78歳まで続くローンの支払いを考えると、このまま放置しておいていいのかしら、と。