内閣府が公表した「令和7年版 高齢社会白書」によると、令和5年の平均寿命は、男性が81.09年、女性が87.14年です。80歳以上の高齢者が増えるなか、93歳の評論家・樋口恵子さんは「楽しげに生きると決めると、いいことが始まる」と語ります。今回はそんな樋口さんの著書『93歳、あとは楽しげに生きる ヨタヘロな私の心得69』から一部を抜粋し、「幸せを呼び寄せるヒント」を紹介します。
モノの生前整理、私はやらないと決めちゃった
生きているうちに身辺や財産の整理をする「生前整理」が、いつの間にか義務のようになっています。子どもに迷惑をかけないために、生きているうちからモノを減らし、使っていないものは手放したりするというのです。
親が本気で片付けを望んでいるのならまだしも、子どもがわざわざ実家におしかけてモノの処分を迫ったりする。捨てる捨てないで親子ゲンカになったり、親がうつ状態になったりという話も聞き、とても他人事ではありません。
長年住み続けた家の片付けはそう簡単ではないので、私は早々に片付けはあきらめました。
しかし、長年暮らした自宅の建て替えをすることになり、「荷物を半分にするように」と娘から言われました。
これが本当につらかった。過去の自分の人生を捨てるようで、身を斬られる思いでした。