陽キャな友人、ユミ
「お誕生日おめでとう!」
陽キャな友人、ユミ(仮名)へ3日前に送ったLINEがまだ既読になっていない。
彼女はいつもそうだから「嫌われた? ブロックされてる?」などとは思わない。だが、LINEを3日間も見ないなんて信じられない。
私は誰かからLINEが来ると早く読みたくてちっとも我慢できない。しかし「すぐ既読になるなコイツ」と思われるのは恥ずかしいので、既読をつけずに通知で内容を読み、あえて2、3時間おいてから「たった今読みましたよ」という感じで返信する。小者の極みだ。
そんなに人からの連絡に飢えていませんよ、もしくは、仕事で忙しいですよ、という自己演出をしている。自意識は宇宙ほどデカい。
彼女いわく「面倒臭くてあんまり見ないんだよね。いつも未読300件とかになってる」らしい。大者すぎる。
SNSもやっていない。「昔アカウントは作ったけど飽きちゃった」とのことだ。きっと承認欲求などとは無縁なのだろう。
彼女は、20代の頃にバイト先で知り合った私にとって数少ない友人の一人だ。明るくて気さくで美人。楽しいことが大好きで細かいことは気にしない。若い頃はよくパーっと遊び、タクシー代もないほどお金を使い果たし、何駅分も歩きながら「楽しかったねー」とケラケラ笑っていた。
誰とでもすぐ仲良くなるし、誰かに嫌味なことを言われても気にしない。
「一瞬ムッとするけどすぐ忘れる。イライラしてる時間がもったいないもん。大抵の悩みは寝れば忘れる」
だそうだ。
そんな人、モテるに決まってる。男性も女性もそうでない人からも、全人類に好かれている。学生の頃は女子バスケ部の部長や生徒会長をつとめていたらしく、バイトでもリーダー的な存在だった。私はずっと彼女を羨ましく思っている。
