日々の暮らしのなかで「怒り」「悲しみ」「恐れ」などの「負の感情」に振り回されていませんか?精神科医の藤野智哉先生は、「『自分の感情を自分でコントロールする感じ』がもてれば、気持ちがラクになり、生きやすくなることもあります」と話します。そこで今回は、藤野先生の著書『嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう』から一部を抜粋し、「嫌な気持ち」への対応をご紹介します。
家族と死別したら後悔は誰にでも生じます
「夫を亡くした悲しみから、3年以上経っても抜け出せません。いまだに『ああしてあげればよかった』と看取り方を後悔しています。一度、心療内科などにかかったほうがいいでしょうか?」
これは、『嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう』を書くに当たって寄せられたお悩みです。
何かいいアドバイスができればと思いましたが、そもそも悲しみから「抜け出す」という言葉の定義が難しいかなと思ったりしました。
何をしたら「抜け出した」ことになるのか。夫のことを思い出さなくなるのがよいのか、自分の後悔がなくなればよいのか。
同じような悩みを抱えている人もいると思いますが、そのゴールは人それぞれかもしれません。
これを解決しようと思えば、どこかでその出来事や悲しみと向き合わなければなりません。そして振り返れば当然、誰にでも後悔が生じます。
たとえば「最期くらいは自宅で看取ってあげたらよかった」と後悔している場合、病院では痛み止めや点滴などさまざまな処置ができたから穏やかに過ごせたけれど、家にいたら最期まで苦しい思いをしたかもしれないし、もっと早くに亡くなったかもしれない。
本人がどう思っているかわからないことを、残された人が勝手に想像し、意味づけをして後悔しているわけです。