やりたいことを書き出し、実現に近づけていく「夢ノート」を、40年以上続けている中山庸子さん。70代を迎えた今、この習慣の大切さをあらためて感じていると言います。「書く」ことのメリットや、願いを叶える秘訣を聞きました(構成:上田恵子 撮影:藤澤靖子)
親の介護や自身の病に翻弄された10年
ありがたいことに、夢ノートのおかげでこれまで多くの願いを叶えてきました。「いつも前向きで元気」と思われがちな私ですが、実は、60代以降はしんどいことも多かったのです。
アルツハイマー型認知症を患った父が亡くなった後、群馬の実家で一人暮らしをしていた母を東京に呼び寄せたのは、私が63歳のとき。当時86歳の母はリウマチなどの持病はあったものの、まだまだ元気でした。ところが、90歳の誕生日を祝った1週間後に転倒。そのまま介護生活に入り、1年後に見送りました。
そして喪失感が癒えないなかで立ちはだかったのが、実家の処分問題です。特徴的な立地だったこともあり、売却は遅々として進まず。そうこうするうちに、今度は私自身が倒れて救急車で運ばれたのです。69歳のときでした。
検査しても原因がわからず、それどころか処方された薬の影響で肝臓の数値が悪化して再び倒れてしまい、またもや救急車のお世話に。母は生前、「60代が一番楽しいわよ」と言っていましたが、とんでもない(笑)。私の場合は、想定外のことに振り回された10年だったのです。
その後、小腸に潰瘍ができて閉塞を起こしていることがわかり、70歳のときに小腸の一部を切除する手術を受けました。再発しやすいため現在も経過観察は続けていますが、順調に回復。そして先頃、2年間こじれていた実家の売却問題がついに解決し、ホッとしているところです。