日本人の生活と切り離せないお風呂。「湯船につかるのは、 世界一簡単な健康法」と話すのが、 これまで7万人を超える入浴習慣を医学的に調査してきた「 入浴のスペシャリスト」温泉療法専門医の早坂信哉先生です。 先生曰く、知っていそうで意外と知らない「正しい入浴方法」 があるそうで…。今回はその早坂先生の著書『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』より、 一部を抜粋して紹介します。
疲れを取るはずが、かえって疲れてしまうのはナゼ?
いつもより長めに湯船に浸かった後、なんだかぐったりしてしまった……そんな経験はありませんか?
これは「のぼせ」と呼ばれる現象で、決して珍しいことではありません。「長く入れば入るほど体にいい」と思っていたら、それは間違いです。
湯船に浸かると体温が上がり、体はそれを下げようとして発汗を促します。ところが入浴時間が長すぎると汗の量が増え、体内の水分や電解質(ナトリウムやカリウム)が失われて急激に脱水が進行します。
その結果、血液がドロドロになって血液の巡りが悪くなり、体温も上がりすぎて脳や心臓、その他の内臓の機能も一時的に悪くなります。
これが、入浴後の疲労感や頭痛、立ちくらみの原因になることがあります。
特に高齢の方、高血圧や心疾患、糖尿病などの持病がある方は、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まるため、長風呂には注意が必要です。
さらに、自覚がなくても、浴室の高温多湿の環境の中で熱中症になっている場合も少なくありません。