(写真:stock.adobe.com)
手足のしびれ、冷えや痛み、気分の落ち込み……更年期に入った女性は、心身の不調を感じることが多くなります。一方、通常の診察では解決できない体の不調に<栄養学的なアプローチ>を用いた治療と生活指導を行ってきたのが総合内科専門医の梶尚志先生。その梶先生いわく、「実は近年、肝臓のトラブルを抱えた更年期世代の女性が急増している」とのことで――。
「お酒を飲まないのに肝臓の数値が…」そのワケ
「お酒はほとんど飲まないのに、健康診断で“肝機能の数値が悪いですね”と言われてしまいました…」
そんな戸惑いを抱く女性が、40代から50代にかけて急増しています。
一般的に「肝臓=お酒の飲みすぎ」と考えられがちですが、実はお酒を飲まない人も肝機能が悪くなることがあるのです。それが、脂肪肝という状態です。
そして脂肪肝が原因で重篤な肝機能障害に至ることが近年の研究でわかってきました。それが、いま注目されている『NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)』です。
NAFLDは、アルコールを摂取していないのに肝臓に脂肪が蓄積し、炎症を起こしてしまう病気。放っておくと「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」へ進行し、将来的な肝硬変や肝がんのリスクも高まります。
実際、日本では中高年女性の約5人に1人が脂肪肝予備軍といわれています。(※)以前は“肥満の男性に多い病気”とされていましたが、今は更年期世代の女性にも急増しています。
その背景には、女性ホルモンの低下と筋肉量の減少、そして栄養バランスの乱れがあるのです。
(※)「Prevalence and associated metabolic factors of nonalcoholic fatty liver disease in the general population from 2014 to 2018 in Japan: A large-scale multicenter retrospective study」https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37537735/