(写真提供:Photo AC)
近年、健康志向の高まりとともに、「筋肉」への注目が集まっています。そんななか、「筋肉は、医学では糖や脂肪を燃焼する『代謝臓器』と位置づけられています」と語るのは、京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授の青井渉先生です。そこで今回は、青井先生の著書『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』から一部を抜粋し、ご紹介します。

筋肉量に影響する要因

ヒトは体重の30〜40%が筋肉の重さといわれています。全身にある筋肉をあわせると、脳や肝臓よりもはるかに重たく、体の中で最も大きい臓器といえます。もちろん、実際には筋肉量は人によって異なり、腕回りがテニスボールの円周(約20cm)もない人もいれば、50cmを超す人もいます。身長や体重が同程度でも、筋肉量の違いによって体重に占める筋肉の割合は大きく変わってきます。

この筋肉の量に影響する要因が二つあります。

一つは、遺伝的要因です。皆さんの身近にも、普段特別なことをしなくても、筋肉質な人がいるのではないでしょうか? 親が筋肉質であれば、その子供も筋肉質であることが多くあります。親子2代にわたって同じスポーツ競技でトップレベルの選手になることもよくあります。

このような人は、筋肉を太くする遺伝子の働きに違いがあり、筋肉収縮に関係するアクチン、ミオシンのようなタンパク質をたくさん作ることができます。例えば、先天的に筋肉の肥大を抑えるマイオスタチンの働きが低かったり、筋タンパク質を合成する成長因子の働きが高かったりするのです。

もう一つは後天的要因で、日常生活での運動、食事、休養が筋肉量に影響します。特に、通常よりも筋肉を太くするのに最も有効なのが筋トレです。学術界では、筋トレのことを「レジスタンス運動」といいます。重力に抵抗(レジスタンス)しながら重りを上げ下ろしするためで、ジョギングやサイクリングのような持久性運動とは異なる運動様式です。

正しく筋トレをやれば、だれでも3〜4ヵ月で筋肉量を増やすことができます。最初は重たいものを持ち上げるのが困難であっても、習慣的に行っていると、やがて苦もなく持ち上げられるようになります。筋トレを続けると、筋肉に「適応」が起こり、重力に抗うための力が出るようになるのです。