著者の平野レミさん(撮影:本社・奥西義和)
“シェフ料理”ではなく、“シュフ料理”をモットーに、テレビや雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信している料理愛好家の平野レミさん。著書『平野レミ大百花』では、祖父母のことから、両親や夫・和田誠さんとの出会い、料理にまつわるおいしい思い出まで人生をまるごと綴っています。そんなレミさんは、自身の料理の基本について「家族で受け継いできた『ベロシップ』」だと話します。食べ物を味わう舌や味覚は、子どもの頃から毎日の食卓で育っていくものだと言い――。

シェフじゃなくてシュフ

シャンソン歌手で料理愛好家というのが私の肩書。なぜ「愛好家」なのかというと、料理の仕事をし始めた三十代の頃に、CMの仕事で「肩書は料理研究家でいいですか」と聞かれたことがあったの。その時に、夫の和田さん(二〇一九年に死去したイラストレーターの和田誠さん)が、「レミは研究家じゃないよね。愛好家だよね」って言ったのよ。

料理学校に行って習ったわけでもないし、ただ、ただ楽しくてやってきただけだから、研究家というよりも、そっちの方がぴったり。それからずっと私、愛好家になっちゃった。シェフじゃなくてシュフ の料理を考えてきました。

シュフだから、できるだけ手間と時間を省いて、家族においしいものを食べさせたい、という気持ちよね。気が短くてせっかちだし、おいしくないものを作ったり、食べたりするのも嫌なんです。

だから、お店や旅先でおいしいものに出会ったら、どうやってこの味を出すのか聞いてみたり、家で再現したり。アイデアをメモに書き留めたりもしています。

そうすると和田さんが「レミのご飯、おいしいね」って食べてくれるのよね。よく人が集まる家だったから、出した料理が評判になって。そうやって家族と自分のために工夫してきたことが、ひょんなきっかけで仕事になりました。