祖父はアメリカ人
詩人で仏文学者の平野威馬雄(いまお)が私の父です。詩の同人「青宋(せいそう)」を主宰し、『モオパッサン選集』『ファーブルの昆虫記』の訳、南方熊楠の『くまぐす外伝』などたくさんの本を書いています。UFOやお化けの本もいっぱい出しています。
話が面白くって優しくて、愛のいっぱいある人。鼻筋が通っていてかっこいいのに、私がそう言うと「顔のことは言うな」と嫌がりました。容姿で差別された幼い頃の心の傷が残っていたのでしょうね。
父の父、つまり私の祖父は、ヘンリー・パイク・ブイ(一八四八~一九二〇年)というアメリカ人です。私は外国の血が四分の一入っているクォーターというわけ。ブイは、カリフォルニア州の弁護士でしたが、サンマテオにある豪邸で暮らす資産家で、フランスで音楽の修業をしたこともあったそうです。
ブイ氏がサンマテオの屋敷の前で訪米団を迎えた 時の写真。向かって右隣は渋沢栄一(著者提供)
妻を亡くした後、一八九三(明治二十六)年に来日します。久保田米僊(べいせん)や島田雪湖(せっこ)らと交流して、日本画や書を習い、書家の巖谷一六(いわやいちろく)から「武威(ぶい)」と雅号をもらっていました。祖母の駒(こま)と知り合い、一九〇〇年に父が生まれますが、父が物心ついた頃には、日本を離れていました。