(写真提供:Photo AC)
1920年代から30年代の大阪市は「大大阪(だいおおさか)」と呼ばれていました。この大大阪について、「人口で東京を抜き、日本最大の都市として存在感を際立たせていた」と語るのは、桃山学院大学社会学部准教授の長崎励朗先生(崎はたつさき)です。そこで今回は、長崎先生の著書『大大阪という神話-東京への対抗とローカリティの喪失』から抜粋し、ご紹介します。

二つの「朝ドラ」が描いた新旧の大阪の姿

大阪と言えば、「商人の街」「お笑いの街」といったキャッチフレーズがよく知られている。これに加えて、柄が悪い、騒々しい、がめついなどといったステレオタイプで語られることも多いのではないだろうか。

しかし、結論から言うと、これらのほとんどは大大阪誕生以後に生まれたものだ。大大阪をはさんで一体、どのような変化があったのだろうか。ここでは新旧の大阪の姿を具体的に想像しやすいように、NHKで放送された二つの連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」を使って説明したい。

一つ目の作品は、2023年10月に放送が開始された『ブギウギ』である。ブギの女王と呼ばれた歌手・笠置シヅ子の人生を元にした作品で、趣里演じる主人公・スズ子のステージが話題を呼び、人気を博した。

下町育ちの銭湯の娘が、当時最先端の音楽であったジャズと出会い、やがて東京へ進出。国民的歌手への階段を駆け上っていくサクセスストーリーだ。現実の笠置の自伝によると、彼女が松竹楽劇部(後のOSK)の養成所の門を叩いたのは1927年で、東京に進出したのが1938年。彼女の大阪におけるキャリアの前半は大大阪時代とほとんど重なっている。