表参道で子どもの本の専門店『クレヨンハウス』を開いて47年。2022年吉祥寺に移転し、新たな挑戦を始めた落合恵子さん。その翌年、がんと診断されましたがごく身近な人以外には告げずに闘病を続けてきたと語ります。がんになった自分の、精神的・肉体的変化を綴ったこの本に込めた思いとは――。(構成:篠藤ゆり 撮影:本社・武田裕介)
治療される側として発信していく
東京・青山で46年続いた子どもの本の専門店「クレヨンハウス」を吉祥寺に移転させたのが2022年12月。その翌年、2023年に左上葉部小細胞肺がんステージIIIAと診断されました。
特別な思いはありませんでしたが、「がんになった」自分の精神的・肉体的変化を書いて残しておこうと。ほかの仕事もあって、入院した時もパソコンを持ち込み「病気メモ」のような形で書き、それに加筆したのがこの本です。
メモを書き続けたのは、ひとつには、聞きたいことをなかなか医師に聞けないジレンマがあったから。
患者さんが大勢待っているので、医師との時間を奪うのが申し訳なく、つい遠慮してしまいます。その結果、「これ、どういうことか教えてください」とか「次に、何か変化が起きた時はどうすればいいんですか」など、質問したいのに聞けずにいることが、気がつけばどんどん増えていく。それもちゃんと記録しておこう、と。
これまでも、友だちの病気や母の介護を通して医療機関とかかわってきましたが、自分が治療される側になって初めて実感できることや疑問がたくさんありました。それを書くことは、がんに限らずいろいろな病気になった方のささやかな参考になるのではないか、とも思ったのです。
