芸人で漫画家の矢部太郎さん(右)と、絵本作家の父・やべみつのりさん(左)(撮影:村山玄子)
今から50年前に絵本作家のやべみつのりさんが描いた子育て絵日記を、芸人で漫画家の矢部太郎さんが1冊の本にしました。完成した『光子ノート』を前に語り合う父と息子の会話から、少し風変わりな矢部家の様子が見えてきて――(構成:山田真理 撮影:村山玄子)

992ページもあるフルカラーの本が完成

太郎 2025年10月、僕が立ち上げた出版社「たろう社」から『光子ノート』がようやく刊行されました。誰に見せるわけでもなく、お父さんが僕の6歳上の姉である光子ちゃんの成長の日々を描き続けた子育て絵日記「光子メモノート」を1冊にまとめたものなんだよね。

みつのり なんと992ページもあって、『広辞苑』くらいの分厚さ。僕の故郷である岡山県倉敷市の美術館で太郎と二人展を開催したとき、そこで初めてお披露目したのだけど、まあお越しいただいた皆さん驚いてた。

太郎 そもそも、元になった「光子メモノート」が38冊もあるからね。でも全部を書籍化するのはさすがに無理だったので、光子ちゃんが保育園に入園してから、僕が生まれた頃までの3年間が描かれた20冊にしぼったけど、それでも多すぎる。

どのページも面白いから基本的に抜粋もしていないし、フルカラーにするために良い紙を使ったから、重さも約1キロあるし……。まさに読む鈍器。(笑)

みつのり すごいよね~。展覧会を見てくれた人から、「自分が子育てしていた頃を思い出した」とか「昭和の風景が懐かしかった」とか、いろんな感想をもらったのが嬉しかった。

太郎 「なんだか涙が出てきた」って言ってくれる人もいたね。昔からこのノートの存在は薄々知ってはいたけれど、全部をしっかり見たのは僕が漫画を描き始めてから。5~6年前のある日、お父さんが段ボール箱にどさっと詰めて送ってくれたんだよね。

みつのり 漫画のネタになるんじゃないかと思って。