(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
大切なペットとの別れとその後に訪れる「ペットロス」の苦しみは、経験したことがある人なら「これほど辛いものか」と痛感するものではないでしょうか。ペットの気持ちを読み取り、交流することができる「アニマルコミュニケーター」でもある獣医師・たま愛子先生も、ペットロスを経験された一人。「あなたとあの子の関係は、死によって消えてしまうほど、浅くて軽いものではありません」と語ります。そこで今回はたま愛子先生の著書『あなたに愛されて幸せでした 後悔が愛に変わる天国の犬猫からの伝言』より一部を抜粋し、ペットロスとの向き合い方をお届けします。

獣医師の私が初めて知った愛犬を亡くした本当のつらさ

皆さん、はじめまして。獣医師のたま愛子と申します。

私は獣医師として、これまでさまざまな種類の命の誕生と、そして旅立ちに立ち会ってきました。命には限りがあること、犬や猫の寿命は人より短いこと。それは知識として、誰よりも深く理解していたつもりでした。

しかし、2022年5月8日。

愛犬の「たま」を亡くしたとき、私は自分の無力さを思い知らされました。

たまを失った悲しみは、想像を絶していました。

いつもの場所にたまの姿がなく、ご飯もお水も減らず、たまの匂いがせず、散歩の時間は空白――当たり前の日常に、ぽっかりと深い穴が空きました。自分の一部が失われたというよりは、自分の本体そのものが消えたかのような苦しみでした

朝が来るたびに、「また今日もたまがいない一日がはじまる」と絶望し、夜が訪れると、「この長い夜はいつ終わるのだろう」とため息をつきました。足元から崩れ落ちるような、体の中から何かが湧き出てくるような、逃げられないアリ地獄にいるかのようでした。散歩をしている犬の姿を見るのさえ耐えられませんでした。

突然涙がとめどなくあふれる日もあれば、何も感じない日もありました。ときには「そもそも、たまは存在していたのだろうか?」と、その存在そのものを記憶の端に追いやる日もありました。

あまりのつらさに「どうして私を置いて逝ったの?」という気持ちが芽生えるときさえありました。

獣医師という職業柄、動物の死に慣れているつもりでしたが、このとき初めて、ともに暮らしてきた愛犬や愛猫を失ったご家族が抱える本当のつらさを知りました。

と同時に、寄り添ってきたつもりのご家族の気持ちを理解できていなかったことを痛感したのです。