映画『蝉しぐれ』(「蝉」は正しくは旧字)でスクリーンデビュー以来、20年にわたり数々の作品で印象的な役を演じてきた俳優・佐津川愛美さん。2025年には『映画と仲間filty』を設立し、映画の現場の魅力をより多くの人に届ける活動にも取り組んでいます。そこで今回は佐津川さんの初エッセイ『今日も、自分を生きる練習』より一部を抜粋し、佐津川さんが「自分自身の輪郭を見つめ直した軌跡」をお届けします。
休み続けた2023年
2024年は厄年らしい。女性は30代に2回来るという厄年。前回は、前厄の年が辛すぎて、前厄でこんなに辛いって本厄になったらどれだけひどいことが起こるのだろうと思っていたはずが、日常に追われている間に気付いたら本厄は終わっていた。
つまり本厄はそんなに大変なことは起きなかったということだろう。
今回はというと、昨年が前厄だったはずだが、すっかり忘れていた。今年のお正月に初詣に訪れた神社で自分が本厄であることを知って、びっくりした。
昨年の自分を振り返ると、前回ほどのはちゃめちゃな辛さはなかったはず。ただ、別の意味での、静かだからこそこわい前厄だったかもしれない。
ちょうど1年程前の私は、自分に絶望して抜け殻のようになり、気力が湧かず、日常が3色くらいにしか見えないような感じだった。その前の秋頃に携わらせてもらった作品で、良き現場にしなくては! と、誰からも求められていないのに勝手につくった責任感から、逃れられなかった。とにかく良いものを!! という気持ちを持ちすぎていたと思う。
そのこととは別で、作品に連動して仕方がないとはわかりつつ、目にすればへこんでしまうDMが来たり、それよりも多くのハッピーなメッセージももらっていたのに、やはり傷つき始めるともう心を保つのは難しくなるし。
冬までは気合いを入れなければ挑めない作品が決まっていたので、そこまではなんとか保って頑張れたのだが、その作品が終わると、抜け殻でしかなくなった。もはや無という感情だった。