しっかり寝ても疲れが取れない、やる気が出ない、イライラする…最近、このようなことはありませんか?「その不調、もしかしたら『脳の疲労』が原因かもしれません。脳の疲労は、頭を使いすぎたときだけでなく、ストレスや情報過多によっても引き起こされます」と語るのは、脳トレの第一人者である医学博士・川島隆太さんです。そこで今回は、川島さんの著書『脳を休める!』より、一部を抜粋してお届けします。
脳には「良い疲労」と「悪い疲労」がある
「脳の疲労」とは何なのでしょうか? 最も単純なとらえ方としては、脳を使いすぎた(情報処理をさせすぎた)ことによって、脳の機能が低下してしまった状態のことです。そして、その変化を私たちはなんらかの変化、多くの場合は自身のパフォーマンスの低下として「知覚」します。いわば脳の「バッテリー切れ」です。
私自身が、はじめて脳のバッテリー切れを経験したのは、2012年に任天堂株式会社から発売した「ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング」、通称「鬼トレ」を制作したときでした。
このゲームアプリは、作動記憶(ワーキングメモリー)のトレーニングを集中して行うものです。「ワーキングメモリー」とは情報を一時的に記憶し、その情報を利用しながら考えたり判断したりする能力のことです。ゲームには、このワーキングメモリーを鍛える仕掛けがしてあり、10分間ほど集中して取り組むと、まさに疲労困憊してしまい、その後しばらく本当に何もできない状態になりました。
数分間、強制的にぼんやりさせられていたような感覚がありました。自分の脳が、それ以上何かをすることを拒否したのを肌で感じ、「これはまさに鬼だ」とひとりごちたのを覚えています。