最も対応に苦慮したのが、数日間煮込み続けたという真っ黒な「特製佃煮」でした…(写真:stock.adobe.com)
気になるニュースや家族のモヤモヤ、日々の生活で感じたさまざまな思いや誰かに聞いてほしい出来事など、読者からの投稿を紹介するWEBオリジナル投稿欄「せきららカフェ」。今回ご紹介するのは、40代の方からの投稿です。学生の頃、同じマンションに住むおばあちゃんに可愛がられ、時折「お裾分け」をもらったそうで――。

ちょっと困ったお裾分け

私が学生時代の話です。同じマンションの上の階に住むおばあちゃんは、いつも上品な笑顔で挨拶をしてくれる、本当に素敵な方でした。

まだ20歳そこそこだった私を孫のように可愛がってくれるのはとてもありがたかったのですが、時折いただく「お裾分け」の内容にだけは、正直なところ少し困惑していました。

おばあちゃんは非常に多趣味で、ある時は「体に良いから」と自家製の謎の薬草酒を大きな瓶ごとくれました。その香りはまるでお寺の線香を液体にしたような強烈なもので、一口飲むだけでワンルームの空気が変わってしまうほどでした。

またある時は、彼女が通っている陶芸教室の初期作品だという、用途が不明なほど巨大で歪な形をした粘土細工の鉢を「鍵置きにでもして」と渡されました。そのあまりの重厚感に、一人暮らし用の小さな下駄箱は悲鳴を上げていました。

さらに最も対応に苦慮したのが、数日間煮込み続けたという真っ黒な「特製佃煮」でした。おばあちゃんの愛情が凝縮されているのは痛いほど伝わってくるものの、塩分が地球規模のレベルで、ほんの1さじで茶碗3杯のご飯が必要になるほどの破壊力がありました。

断れば彼女の優しい笑顔を曇らせてしまうのではないかと考えると、どうしても「いりません」とは言えず、毎回「いつもありがとうございます」と満面の笑みで受け取ってしまう自分がいました。

40代になった今では、あのやり取りも愛おしい思い出です。

でも、キッチンの奥に溜まっていく「謎の瓶詰め」と、チャイムが鳴るたびに感謝と恐怖が入り混じった複雑な動悸に襲われたことは今でも忘れられません。

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