(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
「家は広いはずなのに、モノが溢れていて広く感じない…」そんな経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。85平方メートルの家に住んでいた主婦ブロガー・大木奈ハル子さんは、10年間で5回の引っ越しを行い、現在は25平方メートルの家で快適に過ごしているそう。そこで今回は大木奈さんの著書『小さく暮らす: 25平方メートルのゆたかな生活』より一部を抜粋し、「狭い部屋でも快適に生きるコツ」をお届けします。

事故物件を100万円でリフォーム

引っ越して荷物を減らしてからというもの、今までの不協和音が嘘のように消えました。「貧乏だけど現実的な妻」と、「浪費家だけど働き者の夫」の歯車が噛み合い、軽やかに日々がまわりはじめたのです。ほぼ貯金ゼロの状態からのスタートでしたが、現金一括でマンションを購入した恩恵は絶大です。家賃はかからず、ローンもなし。毎月の固定費は、修繕積立金と管理費のみ。これまでとは打って変わって、貯金はみるみる増えていきました。

私たちの収入は結婚前から増えもしなければ減りもしていません。それなのに、小さな家に引っ越ししただけで、経済状況は見違えるほど改善しました。毎月20万円を先取りで貯金し、残りの収入でやりくりする。私はスーパーで値引きシール付きを買い漁り、夫はネットショッピングで割安な商品を探し出す。役割分担も完璧です。ゲーム感覚で節約を楽しむことで、預金は着実に増えていきました。通帳の残高を一緒に眺める時間は、ささやかだけれど確かな達成感と、一体感をもたらしてくれました。

この頃から、たまに勃発していた夫婦喧嘩も、ぴたりと止みました。夫が良かれと思って振る舞ってくれた手料理に対しては「こっちはおつとめ品で必死に節約してるのに、なんでデパ地下で高い食材を買ってくるの?」とネチネチ責め立て、「ハル子ちゃんの荷物を入れるために、新しいタンスをプレゼントするよ」と言ってくれても、「置く場所がないから、まずは先妻の嫁入りタンスを捨てて」と号泣したり。せっかくの好意を踏みにじっては、後で自己嫌悪に陥ることを繰り返していました。

それが一転、私の心は凪いだ状態がデフォルトとなり、腹を立てることがなくなりました。夫の優しいところはもちろんのこと、ちょっとピントのずれたところすらも、愛しくてたまりません。今思い返すと、あの頃の夫婦喧嘩の原因はどれも「荷物の多さ」と「お金の不安」でした。部屋が荒れているとイライラするし、お金がないと不安になる。マイナス要素が解消されると、揉め事は減るんだなぁとしみじみ実感しました。

住みだして半年ほどが経ち、ものが減り、暮らしが整ってくると、引っ越しした頃には気にならなかった部分が少しずつ目に付くようになってきました。

水色の流し台にピンクの便器。前の住人の独特なセンスは、お世辞にも私の趣味とは言えません。フローリングは部分的に剥げており、北側の押し入れはどこかカビ臭い。最初は「住めるから問題ない」と割り切っていたのに、毎日を機嫌よく過ごせるようになると、「これからも長い時間を共にするこの家を、もっと好きな空間にしたい」と欲が出てきたのです。

やっと貯まりはじめたお金を減らすことに抵抗はありましたが、「終のすみかにするために、必要な先行投資である」「どうせするのなら、早い方が良い」という結論に至りました。節約や貯金がゲームのように楽しくなっていた私たちにとって、「お金をかけずに、どこまで理想の家に近づけられるか」は、次なるエキサイティングな「遊び」のようでもありました。ただし、貯金は減らしたくない。予算は100万円と上限を決めました。