「安くて良いもの」探し
特にツテもなかったため、まずは地元のリフォーム会社とデザイン事務所に見積もりを出してもらったところ、どちらも300万円ほどでした。「高い上に、イメージとはほど遠い」ということで、どうしても自分たちではできないことだけをプロにお願いして、ほかはDIYで家づくりをすることにしました。
インターネットで日本中のあらゆる商品を比較検討して「安くて良いもの」探しに没頭。台所は「東製作所」の業務用シンクが約5万円、シャワートイレは商業施設などでよく使用される「ジャニス工業」製で約6万円、洗面台はイケアの洗面ボウルとキャビネットを組み合わせて約2万円など、合計13万円程度で「機能は最低限だが品質に問題なし。しかもけっこう見た目がイケてる!」という、自画自賛ながら大満足の設備を手に入れました。
職人さんにお願いしたのは、大きく3つ。水回りの工事と、押し入れと間仕切り壁の撤去(家をワンルームに)、それによってできた床の凸凹を均して、上からクッションフロアを貼る作業です。お支払いは、80万円ほどでした。
ここから、いよいよ私たちの「本気の遊び」が始まります。残りの10万円で、壁紙やランプシェードなどのパーツを選び、ホームセンターで工具を揃え、安い木材を切り出し、アウトレットのタイルを買い集める。日曜大工の経験はゼロだったため、ブログやYouTubeを参考に、見よう見まねで作業を進めました。
結婚当初、家が気に入らず不満だらけだった私にとって、この家に引っ越せただけでも嬉しかったのに、間取りや内装まで自分好みに変更できるなんて、夢のようです。等間隔にならないタイルや、ちょっと傾いた棚板、上下逆さになってしまった壁紙。人から見ると失敗だとしても、自分たちで施工すれば、愛着のわくチャームポイントです。最終的には100万円では収めきれず、「やっぱりここにも棚を作ろう」とか「ここにはちょっと奮発して、かわいい輸入壁紙を貼ろう」とか、あとからあとから付け足していったため、予算を20万円以上オーバーしたのではないかと思うのですが(最後の方はダラダラ使っていたため把握できなくなりました)、お値段以上の空間が完成しました。
夫はというと、買い物好きはそのままに、「お金は使えば使うほどかっこいい」から、「無駄遣いはダサい」へと、価値観ががらりと変わりました。限られた予算のなかで、希望に沿う建材や家電を探すことに面白さを見出しました。
2人でリフォームを計画し、週末ごとに実行する。この共同プロジェクトによって、夫婦の一体感はさらに増していきました。高級なシステムキッチンや最新の家電、ブランド家具は買えませんでしたが、お互いに妥協点を見出しながら選び抜いたものは、私たちの心を満たしてくれました。
その後、夫の転勤により引っ越しを余儀なくされ、この家で暮らしたのはわずか1年ほど。それでも、不要なものを手放してお気に入りに囲まれる心地よさや、お金をかけずとも工夫して住まいを整える喜びは、人生を変えるほど濃密な経験となりました。この事故物件での「本気の遊び」こそが、今の私たちの「小さな暮らし」の原点です。
