一応幽霊が出ないか確認も…
5物件全体の管理状態をチェック
築年数にはこだわりません。築30年を超えてくると建物の資産価値はほぼ落ち切り、値崩れしにくくなるため、私にとっては「逆にラッキー」という感覚でした。ただし、その分「管理状態」はシビアに見極めます。築30年でも、廊下に住人の荷物が散乱していると荒んだ印象になりますし、逆にきちんと管理されていれば、築50年でも古さが味わいになります。
マンションは古くなればなるほど、管理の良し悪しでコンディションが大きく変わります。まずはエントランスが清潔か、ゴミ捨て場のマナーは遵守されているか、自転車置き場に放置自転車が溢れていないかなど、見える部分をチェックしてから、配管の交換や外壁の補修などマンション全体の大規模修繕工事がきちんとされているかを、管理組合に確認します。
6最寄駅のにぎわいが暮らしやすさを左右する
普通の物件選びと同様、周囲の利便性や駅からの距離も大切です。路線にもよりますが、一般的に駅から近ければ近いほど値崩れしにくいとされています。わが家は自家用車を手放したため、駅チカ(駅徒歩7分圏内)を絶対条件にしました。
駅前にスーパー、病院、郵便局があれば、徒歩だけで生活を完結できますし、日常インフラのコンビニやドラッグストア、リーズナブルな外食チェーンは、日々の生活の快適さに直結します。
7「心理的瑕疵」の詳細を調査
悪い噂を広めたくないためか、不動産屋さんは「どうも自殺があったらしい」といった、歯切れの悪い説明しかしません。詳細を知るために必要なのは、聞き込みです。菓子折りを持って、マンションの理事長と管理人さんに直接、話を聞きに行きました。理事長は「20年以上ここにいるが、自殺の話は聞いたことがない」、管理人さんは「事故があれば警察から報告があるはずだがなかった」とのこと。調べた結果、死亡はマンションではなく病院で判明しており、事故物件として扱われなかったようでした。
8一応幽霊が出ないか確認もしてみる
購入前には、念のため1泊させてもらいました。おばけなんて信じていないけれど、万が一夜中に足をひっぱられでもしたら……と、少しドキドキしましたが、結果は朝までぐっすり。目覚めると部屋には光が溢れ、窓を開ければ気持ちよく風が吹き込む。拍子抜けするほど、穏やかな光景が目の前に広がっていたのです。
9値切りにもチャレンジ
オーナーは早期売却を望んでいたため、価格交渉に挑戦。通常の売買相場は950万円ほど。事故物件は内容によって値引率が異なるらしく、殺人事件だと半額以下になるという噂もありますが、わが家が購入した物件の値引率は低め。売り出し価格は850万円でした。即決・現金一括払いを打診した結果、100万円の値引きに成功し750万円に。経費は50万円以上かかりましたが、残置物(冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの家電一式)も譲り受け、破格で手に入れることができました。
以上が、わが家が事故物件を購入するまでの過程です。安さだけでなく「自分なりのルール」を貫いて選んだことで、のちに買値より高い800万円で売却することができました。仲介手数料がかかるため、儲かることはなく「ちょっとだけマイナス」での着地となりました。事故物件を検討する機会があれば、ひとつの参考にしていただければ幸いです。
*余談ですが、2021年に心理的瑕疵物件の告知義務に関するガイドライン(国土交通省策定)が公表され、賃貸は「死が発覚してから概ね3年」で告知義務が原則免除になりましたが、売買はまだ「期間制限なし」のため、「事故物件」と告知したうえで売却しています。
※本稿は、『小さく暮らす: 25平方メートルのゆたかな生活』(新潮社)の一部を再編集したものです。
『小さく暮らす: 25平方メートルのゆたかな生活』(著:大木奈ハル子/新潮社)
10年間で引越5回。
わが家が狭くなるたびに、暮らしに心地よい風が吹くようになった。
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