(撮影:本社・武田裕介)
みたらし団子が名物の和菓子店で、長年にわたり店を支えてきた牧敏子さん。90代になっても、昔と変わらずに立ち仕事を続けることができるのはなぜか。元気の秘訣を伺うべく、お店を訪ねました。(撮影:本社・武田裕介)

夫と義父を亡くしてからひとりで切り盛り

「今でも朝9時から夜9時ごろまで仕事をしています。最近は、テレビやインターネットを見て、遠くからお客さんが来てくださるようになったものだから、どうしても残業になっちゃうんですよ」

そう言って朗らかに笑うのは、御年97歳の牧敏子(としこ)さん。三河湾に面し、うなぎの養殖でも知られる愛知県西尾市の一角で、約100年続く老舗の和菓子店「盛華堂」の《看板娘》だ。

敏子さんは1929年、名古屋市生まれ。戦時中に家族とともに約50キロ離れた西尾市へ疎開し、その地で25歳のときに結婚。嫁ぎ先が、義父の創業した「盛華堂」だった。

義父から和菓子や団子づくりを一つひとつ教わったが、夫が37歳で病気により亡くなり、その3年後には義父も事故で他界する。以来、ひとりで70年近く店を切り盛りしてきた。