イラスト:おおの麻里
1日3食しっかり食べていても、養のバランスが取れているとは限りません。『婦人公論』世代が不足しがちな栄養素に加え、摂りすぎに注意したいものについて伝授します。この機会に、食生活を見直してみませんか?(構成=渡部真里代 取材・文=佐藤ゆかり イラスト=おおの麻里)

特に不足しがちなのは、ビタミンD、亜鉛、マグネシウム

動脈硬化も骨粗しょう症も。栄養不足は万病のもと

風邪をひきやすかったり、寝ても疲れがとれなかったり、肌が荒れたり。これといった原因は思い当たらないのに、なんとなく不調に悩まされていませんか。「それは必要な栄養が不足していることが原因かもしれません」と言うのは、老化や病気を防ぐ食習慣を提唱している満尾クリニック院長の満尾正先生です。

特に50歳以上の女性は、ビタミンDが不足しがちなのだとか。ビタミンDは紫外線に当たることで皮膚にあるコレステロールから合成されますが、女性はシミ予防など美容面から日光を避ける傾向が強く、合成量が不足。そのうえ、加齢により合成力自体も低下するため、ますます減少することに。満尾クリニックを受診する女性の3人に1人は慢性的な欠乏状態だと、警鐘を鳴らします。

「ビタミンDには免疫の働きを正常に保つ作用があり、不足すると免疫力が低下して風などの感染症にかかりやすくなるのです。新型コロナウイルス感染症では、感染者の血中ビタミンD濃度が平均値より低いという研究報告も。また、骨の主要成分となるカルシウムの吸収を促す働きもあるため、ビタミンD不足は骨粗しょう症にもつながります」(満尾先生。以下同)

『婦人公論』世代は、亜鉛とマグネシウムも意識して摂りたい栄養素です。しかし、亜鉛の含有量の高い牡蠣やカニ、マグネシウムを多く含む未精白の穀類を日常的に摂っている人は少なく、不足がちに。さらに、どちらも加齢とともに体内への吸収率が低下するそうです。

「亜鉛は、肌や髪などをつくるたんぱく質の合成に関わっています。不足すると皮膚炎や脱毛を引き起こすほか、赤血球の合成にも支障をきたし貧血になることも。また、抗酸化作用が高く、不足すると細胞を傷つける活性酸素を排除できなくなり、細胞の老化が早まってしまうのです」

マグネシウムは、炭水化物などをエネルギーに変えるために必要なミネラル。足りないと体力が低下したり疲れやすくなったりします。

「問題は、それだけではありません。マグネシウムは筋肉の収縮に必要な栄養素でもあるため、不足すると筋肉の伸縮が悪くなって足がつったり、血管の弾力性が失われて動脈硬化や高血圧を引き起こすことも。さらに、心筋の収縮がスムーズにいかなくなって不整脈や狭心症を招くなど、深刻な病気の原因にもなるのです」