「鯛茶膳」1700円。鯛茶漬けのほかに日替わりの小鉢2品と香の物、味噌汁とデザートがつく。写真は、玉こんにゃくの土佐煮と玉子豆腐。デザートは水羊羹。もちろん、いずれも自家製だ。ご飯は会津のコシヒカリでおかわり可。月曜日は煮物、火曜日は焼き魚など、土曜日まで毎日おかずが替わる「日替わり膳」1500円も見逃せない

銀座で楽しむ丁寧な味

銀座で気軽にランチを、という時に覚えておきたい一軒がここ。創業昭和28年の老舗「むとう」だ。

古き良き銀座の面影を残す日本家屋の一軒家。2010年に改装したとはいえ、楚々とした佇まいは、今も少しも変わらない。引き戸を開けて中に入れば白木のカウンターも清々しく、厨房が見える店内は、明るくゆったりとした雰囲気。清潔感の漂うなか、気のおけない友人との静かな午餐を約束してくれそうだ。

ランチは日替わり膳、刺身膳、鯛茶膳の3種類。中でも一番人気は、開店当初から続く鯛茶漬けだとか。

料理長の東山仙秋さんによれば、「唯一これだけは、内容を変えないでほしいと女将から言われた」伝統の味だそうで、胡麻だれタイプの鯛茶漬けが多いなか、こちらは醤油だれがベース。いわば、鯛のづけ茶漬けで、煎った胡麻を鯛の上にたっぷり振りかけている。

副菜としてオーダーできる天ぷら盛り合わせは、海老に季節の野菜が3品ついてなんと300円。ほかにお刺身盛り合わせ500円や黒大豆納豆もある

鯛は愛媛の活けジメを使用。身のプリッとした鯛を白飯に乗せ、まずはそのまま丼として、次にアツアツの玄米茶をかけてお茶漬けに、というのが東山料理長のおすすめの食べ方だ。出汁ではなくあえてお茶で、という趣向も粋。

過分な旨みに邪魔されず、スッキリとして鯛の旨みをストレートに味わえる。