熊本とアメリカに軸足を置き、子育てや介護、仕事に飛び回ってきた詩人は、東京に来るといつも、親友の料理研究家宅に宿泊する。伊藤比呂美、枝元なほみ、ふたりは同い年。「ねこちゃん」「ひろみちゃん」、呼び方も40年、変わらない(構成=田中有 撮影=大河内禎)
30代、長電話はセラピーみたいに
伊藤 ねこちゃん、こんにちは。
枝元 おお、ひろみちゃん。熊本の雨は大丈夫だった?
伊藤 うん、飛行機は予定通り飛んだ。でも今回はいつもの留守番役が手配できなくて。
枝元 え、じゃあ連中は4匹だけで過ごしてるの?
伊藤 愛犬教室の先生と友人たちには見回りを頼んである。明日朝イチの便で帰るから、今晩は羽田のホテルに泊まるね。
枝元 ほい了解。泊まるにしろ、帰るにしろ、特別なにか用意することもないから全然大丈夫だよ。
伊藤 ここのひとつ前の家くらいからかな、東京に来たらねこちゃんのとこに泊めてもらうようになったのは。
枝元 わたしのほうも、ひろみちゃんがアメリカにいた頃は結構遊びに行ったよね。